
連絡が取れない相続人がいても、相続手続きは進められます。音信不通の兄弟や前妻の子の探し方、非協力的な相続人への対応を、浜松の長野法律事務所の弁護士が事例で解説。無料相談もご利用ください。
もしかすると、今、こんな状況ではありませんか?
「連絡が取れない相続人がいる」というだけで、相続手続きは大きく止まってしまいます。
それでも、どうか一人で抱え込まないでください。 相続人の所在は、戸籍をたどることで多くの場合に調べることができます。 そして実務の経験からお伝えすると、見つかった相続人の多くは、事情を丁寧に伝えれば協力してくださいます。
長野法律事務所では、争いになってから動くのではなく、関係がこじれる前の「最初の一歩」からご一緒することを大切にしています。
遺言書がない場合、遺産は相続人全員の話し合いで分け方を決めます。 この話し合いを「遺産分割協議」といいます。
遺産分割協議は、相続人が一人でも欠けると成立しません。 連絡が取れない人を除いて話をまとめても、その協議は無効になってしまいます。
遺産分割協議書の作り方や注意点は、以下の記事で詳しく紹介しています。
(遺産分割協議書の書き方|失敗しないための注意点を弁護士が解説)
協議がまとまらないと、銀行の預貯金を解約することが難しくなります。 不動産の名義を変える「相続登記」も、思うように進められません。
相続登記は、2024年4月1日から義務になりました。 不動産を相続したと知った日から3年以内に申請が必要です。 正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料(行政上のペナルティ)の対象になります。
それ以前に発生した相続も対象で、その場合の期限は2027年3月31日です。 「昔の相続だから関係ない」とは言えなくなっています。
相続税がかかるご家庭では、申告期限(亡くなったことを知った日の翌日から10か月)にも注意が必要です。
ひとことで「連絡が取れない」といっても、実は状況はさまざまです。 どのパターンかによって、とるべき方法が変わります。
パターン1:どこにいるか分からない 前妻の子や、生き別れの兄弟などが典型です。 まずは戸籍をたどって、今の住所を調べるところから始めます。
パターン2:住所は分かるが、返事がない(音信不通) 手紙を出しても反応がないケースです。 伝え方を工夫したり、弁護士から改めて通知したりすることで、状況が動くことがあります。
パターン3:連絡はつくが、協力してもらえない 「話し合いに応じない」「書類にハンコを押してくれない」というケースです。 この場合は、家庭裁判所の「調停」という話し合いの場を使うことを検討します。
最初に、亡くなった方の生まれてから亡くなるまでの戸籍をすべて集めます。 これにより「誰が相続人なのか」が確定します。
この段階で、ご家族も知らなかった相続人が見つかることも珍しくありません。 たとえば、前の結婚で生まれたお子さんや、認知したお子さんなどです。
相続人が分かったら、次は住所を調べます。 ここで使うのが「戸籍の附票(ふひょう)」です。
戸籍の附票とは、その戸籍に入っている人の住所の移り変わりを記録した書類のことです。 これを取り寄せると、相手の現在の住民票上の住所が分かることが多いのです。
ご自身で他の相続人の戸籍や附票を集めることもできます。 ただ、何代にもさかのぼる戸籍は読み解くのが難しく、時間もかかります。
弁護士は、職務上の必要があれば、ご依頼に基づいて戸籍や附票を請求できます。 調査から相手への連絡、話し合いまでを一つの流れで進められるのが強みです。
相続人調査の具体的な流れは、以下の記事で詳しく紹介しています。
※以下は、複数の経験をもとに再構成した架空の事例です。
登場人物と背景 Aさん(50代・女性)の母が亡くなりました。 相続人は、Aさんと、兄のBさんの2人です。 Bさんは両親の離婚時に父に引き取られ、40年以上会っていませんでした。 遺産は、母が住んでいた浜松市内の自宅と預貯金で、合計約2,000万円です。
何が起きたか Aさんは兄の住所を知らず、どう連絡すればよいか分からないまま半年が過ぎました。 「今さら連絡して、責められたらどうしよう」という不安もありました。 ご相談を受け、当事務所が戸籍と附票をたどったところ、Bさんは県外に住んでいると分かりました。
結果 当事務所から、母の最期の様子や遺産の内容を丁寧にお伝えする手紙を送りました。 2週間後、Bさんから「知らせてくれてありがとう」とお電話をいただきました。 その後、約3か月で遺産分割協議がまとまり、自宅の相続登記も無事に終えられました。
➡ 相手を「敵」と決めつけず、事情を誠実に伝えることが、円満な合意への近道です。
登場人物と背景 Cさん(60代・男性)の叔父が亡くなりました。 叔父には妻も子もおらず、兄弟もすでに亡くなっていました。 そのため、甥や姪にあたる8人が相続人になりました。 遺産は、評価額約800万円の土地と建物、預貯金約500万円です。
何が起きたか 8人のうち2人とは、数十年まったく交流がありませんでした。 Cさんは「いつか片づけよう」と考えたまま、叔父の死から約3年がたっていました。 相続登記の義務化を知り、慌ててご相談に来られました。
結果 当事務所で戸籍を集め、全員の住所を特定しました。 連絡のなかった2人も、事情を説明すると協議に応じてくださいました。 ただ、戸籍の収集から全員の合意まで約1年かかり、弁護士費用など全体で約60万円の負担となりました。
➡ 代が進むほど、相続人は増えていきます。早めに調査を始めることが、ご家族の負担を軽くします。
なお、離婚後30年以上音信不通だった前妻のお子さんとの協議を、円満にまとめた当事務所の解決事例もございます。
(【相続】音信不通だった前妻の子を調査し、円満に遺産分割協議を成立させた事案)
会ったこともない人から、突然「相続の件で」と手紙が届いたら、どう感じるでしょうか。 多くの方は驚き、少し身構えてしまうはずです。
だからこそ、最初の一通がとても大切です。 私たちは、次のような点を意識してお手紙を書いています。
前妻の子や異母兄弟への連絡の仕方は、以下の記事で詳しく紹介しています。
それでも返事がない場合や、話し合いに応じてもらえない場合もあります。 そのときは、家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立てることを検討します。
遺産分割調停とは、裁判所の調停委員が間に入り、話し合いで解決を目指す手続きのことです。 調停でもまとまらなければ、裁判官が分け方を決める「審判」に移ります。
戸籍の附票の住所に住んでおらず、行方が分からない場合もあります。 そのときは、家庭裁判所に「不在者財産管理人」を選んでもらう方法があります。
不在者財産管理人とは、行方が分からない人に代わって、その人の財産を管理する人のことです。 家庭裁判所の許可を得れば、本人に代わって遺産分割協議に参加できます。 ただし、申立てには一定の費用や時間がかかり、事案によっては予納金(あらかじめ納めるお金)が必要になります。
長い間生死が分からない場合には、「失踪宣告」という制度もあります。 どちらの手続きが合うかは、状況によって異なります。
連絡が取れない相続人のご相談では、皆さん「争いになるのでは」と不安を抱えて来られます。
けれども、私がこれまで関わってきた中では、見つかった相続人の多くが協力的でした。
「親の最期を知らせてくれてありがとう」と、感謝の言葉をいただくことさえあります。
相手の方もまた、突然の知らせに戸惑いながら、自分なりに受け止めようとしています。
その気持ちを想像し、敬意をもって言葉を選ぶこと。
それが、相続を「争い」ではなく「家族の区切り」にするために大切なことだと感じています。
私たちは、相続人の調査から最初のご連絡、話し合いのまとめまで、一緒に歩む伴走者でありたいと考えています。
連絡が取れない相続人がいると、つい手続きを後回しにしたくなるものです。 けれども時間がたつほど、相続人が増えたり、手がかりが減ったりしていきます。
問題がこじれてから動くのではなく、家族の関係にヒビが入る前に、穏やかに準備を始めること。 それが、あなたとご家族の心の負担を軽くすることにつながります。
「家族のこと、ちゃんと考えたい」 そう思った時が、最初の一歩です。